日本の政界に吹き荒れた規制緩和と真逆のICO規制強化の流れ  続々参入表明の大手企業の突き上げと真っ向対決はあるのか?

仮想通貨元年と呼ばれた昨年(2017年)、そして今年2018年はICO元年とも呼ばれた。
だが、そのICOについて、規制を求める動きが強まっている。
また、昨年施行された、「改正資金決済法」から1年という節目でもあり、
ネット上でも、仮想通貨業界に出直しを求める声も多く見られる。

出直し迫られる2年目の仮想通貨業界

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO29133250X00C18A4EA1000/

昨年末には、1ビットコイン=220万円まで急騰したが、年明けからの下落傾向は著しく、
一時は、1ビットコイン=70万円台まで落ち込んだ。

お金として使える店も増えてきたものの、不安定感は否めない。
著名な経済学者・岩井克人氏などは、「人々が『貨幣になるかもしれない』と
期待と興奮の中で値上がりを目的に買い始めたことが、逆に貨幣になる可能性を殺してい」ると指摘する。
https://www.asahi.com/articles/ASKDT7T61KDTUPQJ00C.html

確かに、NEM流出で世間を騒がせたコインチェックの問題などにより
これまで仮想通貨に興味を示さなかった国民の間にも、不安とともに関心が広がるようになった。

仮想通貨NEM流出のコインチェック、マネックスグループが買収案を提示したことが話題を呼び、

https://netallica.yahoo.co.jp/news/20180403-38492214-giza

ビットコインは価値がなくなる!? 世界経済「バブル崩壊」壮絶史」

https://netallica.yahoo.co.jp/news/20180409-13312160-taishu

こんなショッキングなタイトルの記事も人気だ。

3月に行われたG20(主要国首脳会議いわゆる「G7(ジーセブン)」に加えて、EUやロシア、新興国11か国が加わった計20か国からなるグループのこと)

ここでは、仮想通貨に関し「消費者と投資家保護、マネーロンダリング(資金洗浄)、テロ資金供与に関する問題を提起する」と指摘。通貨の主要な特性を欠いているとして、仮想通貨を「暗号資産」と呼び、国際機関による監視の必要性を訴えた。(時事通信より)

http://cryptocurrency-maki.net/?p=2809

こうした一連の流れから、あらためて、仮想通貨そのものに加え、
ICO
(Initial Coin Ofering)への規制が強まるのではないか?との見方が一般的だ。

例えば、多摩大学の「ICOビジネス研究会」では、

合法的な資金調達手段としてのICO確立のための提言をこのほど、発表した。ICOInitial Coin Offering)が持続的で健全な資金調達手段として公的に認められるよう、
提言は7つの原則と2つのガイドラインをまとめて201845日に公開されている。

ICOビジネス研究会」は、多摩大学の大学院教授でシンクタンクのルール形成戦略研究所長の国分俊史教授を座長にして、産業・専門分野の会員や有識者らで構成され、201711月から20183月にかけて検討してきた。ルール形成戦略研究所(Center for Rule-making Strategies)は、政府が助成金を受け、金融機関や業界が会員になっている。さらに顧問に、衆議院議員で自由民主党、IT戦略特命委員長の平井卓也氏や甘利明衆議院議員ら政府、自民党関係者が客員として参加している。(coin choiceより引用)

ICO合法化に向けたトークン発行の条件とは? 多摩大学の「ICOビジネス研究会」が提言

ICO合法化のためのルールを初めて提言

ICOは新たな資金調達・運用手段としてブロックチェーン、仮想通貨の発展とともに注目されている。ICOはその手段として社会から信認を得るためには、適切なルールが形成されなくてはならない。提言されたルールは、とかく不正行為や詐欺、マネーロンダリング(資金洗浄)の標的となるICOを合法化する最低条件とは何かを初めて示したものとして注目される。

ICOを実施する主体(発行体)は、ベンチャー企業やプロジェクトが中心だが、今後は目的や手段が発展する可能性がある。提言は発行体をベンチャー型、エコシステム型、大企業型の3つのパターンに分類している。

ベンチャー型は、株式市場での増資や、出資を受けにくい小規模ベンチャー企業である。投資の対象はハイリスクハイリターンを求める投資家。エコシステム型は、企業・自治体など複数の法人による資金調達である。エコシステムを通じた新たな市場形成を狙う。そして大企業型は、企業内でリスクが高い特定のプロジェクト(新製品開発やゲームなどのコンテンツ制作)で、企業特典を期待する投資家や支援・賛同層の投資を期待する。

ICOによるトークン発行原則とガイドライン

トークン発行原則は下記となる。

  • 発行原則1ICOの設計に当たって、サービス提供の便益提供条件や調達資金・利益・残余資産の分配ルールを明確にして、トークン投資家などへ開示すること
  • 発行原則2:ホワイトペーパー遵守、トレースの仕組みは透明性をもって開示すること

この原則を守って、実務的に求まられる7つのガイドラインと原則は、以下のようになる。

  • ガイドライン1:既存株主・債権者も受け入れられる設計であること
  • ガイドライン2ICOが広く支持を得るため、株式調達等金融商品による既存の調達手法の抜け道とならないようにすること

そしてトークン売買に当たって、投資家保護の5つの原則が提言されている。

  • 売買原則1:トークン販売者は、投資家のKYCKnow Your Customer=本人確認)適合性を確認すること
  • 売買原則2:幹事社は、発行体のKYCを確認すること
  • 売買原則3:仮想通貨交換所は、上場基準のミニマムスタンダードを制定・採用すること
  • 売買基準4:上場後はインサイダー取引など不公正取引を制限すること
  • 売買基準5:発行体、幹事社、取引所などトークン関係者は、セキュリティ確保に努めること

    これらの提言は、「ルールが守られれば、規制はいらない。」との考えに基づいており、
    いわば業界内部から「自己規制」をうたう流れが生まれたということである。

    他方、この間、大手企業の相次ぐ、仮想通貨業界への参入の動きが強まっている。

    例えば、ヤフーは仮想通貨交換業に参入する。子会社を通じ、4月に金融庁の登録業者であるビットアルゴ取引所東京(東京・渋谷)の株式40%を取得。仮想通貨の交換に必要なシステム整備などを経て、2019年春にも追加出資を検討する。資金力と金融サービスのノウハウも持つIT(情報技術)大手の市場参入を機に、仮想通貨の業界再編が加速する可能性が出てきた。(2018/3/23 18:00日本経済新聞 電子版)

  日本人の80%が使っていると言われている LINEも、SNSのネットワークを使った、独自の仮想通貨の開発に乗り出している。すでに、googleをはじめ、アップル、マイクロソフト、IBM、ナスダック。日本では楽天やNTT、リクルートなど、だれもが知るような大企業が続々と参入してきている。

 日本の経済、政治の歴史を振り返ると、第二次世界大戦後、日本が世界に再び肩を並べるためには、「所得倍増計画」等、国が積極的なイニシアチブをとり、国民を鼓舞激励しながら、急速な発展を遂げてきた。その過程では、様々な規制強化が図られ、その効果もあり、一定の成果を遂げてきた側面もある。その後、グローバル化が進む中で、外国資本との競争を余儀なくされると、今度は、様々な規制が足かせとなり、その緩和が大きな焦点となった。
いわば、規制緩和は、日本が世界に名を馳せていく上での、重要なキーワードであったのだ。

 現在、仮想通貨長者の続出などから、資産が海外へ逃げることを抑えるための税務上の規制の強化、また、テロ対策、マネーロンダリング防止の観点からのICOの規制強化などが打ち出されているが、
これらの規制は、一見、規制緩和の大波とは逆行しているかのように見える。自らの利益拡大のために、これらの規制が足かせとならぬよう、大手企業からの規制緩和、あるいは、自らの利益確保を求めての規制強化の動きは、より活発化するだろう。仮想通貨をめぐる課題が、政治課題となる日もそう遠くない。

 そうした動きが強まれば、強まるほど、社会の革新的進化を図り、人々の利便性の向上のためにこそ、ブロックチェーン技術や仮想通貨は活用されるべき、という、骨太の本質論の議論と社会への技術の定着と広がりが一層求められることになりそうだ。

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